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あの頃日本は強かった―日露戦争100年

あの頃日本は強かった―日露戦争100年

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定価 : \756
販売元 : 中央公論新社
発売日 : 2003/10/01

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勝利の要因

日露戦争について、国力の劣る日本がロシアに勝利した要因を、両軍の司令官の資質の違い、下士官以下クラスの教育水準の違い、諜報活動や、戦争後をも見通した大局観を持ちつつ日本に対する同情を効果的に利用した外交活動を行ったこと等に求めている。一方で、第三軍を率いて旅順を攻撃した乃木希典については、司令官としての資質の低さから多くの犠牲招いたとするなど非常に手厳しい。大局的な戦略を持つことは重要であるにしても、個人の資質や、そこから来る戦術の出来不出来、個々の戦闘の結果というものが、戦争の帰趨を決定していくという考え方に全体的が貫かれている。

なぜ強かったのか

あの頃、なぜ日本は強かったのか? 本書で理解される強みは以下の二点。
@日露戦争におけるグランドデザインを当時の政府・軍部が持ちえたこと。戦争突入が不可避となったとき、政府は戦争準備とともに早くも和平を考えていたようです。児玉源太郎などが長期戦になったら無理だと早期収拾を主張、開戦と同時に事態収拾の具体的戦略が動き出しています。自らを知る、客観的条件を知る合理思考が冷静に働いています。

A個々の戦術が優れていたこと。日本軍は、一般的に強引に押すときは無理を承知でも攻撃し、じっくり待つときは一転して持久戦に入る、臨機応変の戦術を展開。例えば、黒木大将の戦術はここぞというときには間髪入れずに実施され、これが敵をして一歩か、二歩後手を踏ませる原因となった例があげられています。黒木は膠着状態になると昼寝をしていた(いくら優れた戦術でもいつも思い通りにはならない)エピソードや東郷が白旗を掲げても機関停止しない艦艇には容赦なく攻撃を継続した、といった点は戦術のメリハリを感じさせます。

読み物としては面白いのですが、いまひとつ議論が深まっていないのが、欠点といえば欠点です。

日露戦争開戦百年〜往時を知る人々は殆どいない

 軍事的な側面から見た日露戦争小史としては読みやすくて写真図版も多くてエンターティメント性が豊富。日本が西洋列強諸国に追いつけ追い越せという時代のまさに一大イベント(多くの人命と多額の外国からの借金と引換に実施された)であった。

 これに先立つ日清戦争とその後の第一次世界大戦というようにかつての日本はちょうど十年ごとに大規模な戦争を戦いアジア地域に後発の資本主義国として植民地を増やしていくのだが、その結果がおびただしい犠牲を伴った先の大戦の大敗北へつながってゆくのは周知のとおり。

 三十年年前にこの本が出版されたら非難の十字砲火を浴びたのではないか、まさに隔世の感がある。戦争も百年たてば何らかの形でかかわった人々も殆ど存命していない。太平洋戦争、大東亜戦争、十五年戦争...四十年後(多分死んでます)がどのような呼称となっているかは分からないが、かつての歴史をどのように評価するかで今の時代の動きが分かるとしたら....

もう一つの重要な戦い−情報戦

亜細亜の大偉業、日露戦争を軍人らしく簡明に総括している。実際に戦争に参加した人からの聞き書きも織り込まれており、資料偏重でない仕立てが好感。戦功の評価は第1軍を指揮した黒木将軍が絶賛されているほか、1章を費やして情報戦の立役者福島大将、明石将軍を評価しているのがすばらしい。とくに情報戦のクローズアップはとかく勇ましい話に終始する日露戦争の話題の中で現代にも通ずる重要なポイント。

日本はなぜ一大偉業をなしえたのか。各会戦を具体的に追うとともに、国力、人材、兵力比較と対外関係から「勝ち戦」の理由を多角的に紹介した決定版。「観戦武官物語」など読み物も充実。
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